【整備士向け】サイドスリップの調整【メカニックTV】

サイドスリップの調整を解説

車検の時に必ずチェックする項目サイドスリップ(トーイン)の調整の仕方を解説します。要点を押さえないと混乱しやすいです。サイドスリップとは直進状態でタイヤが横にずれる量を指します。保安基準で1mにつき5㎜以内と定められています。サイドスリップは専用の計測器で計ります。車検場や工場には埋設型が置かれています。DIYで計測可能なアイテムもあり、アイテム上のプレートが動くことで計測されます。動画で紹介するDIY用はイン・アウトのどちらかに、何度ずれているかを計測できます。日本は㎜表記が一般的なので自分で変換が必要です。

1.ハンドルを直進に合わせます。その後ハンドルに触れずに静かに1m前進します。これは車検場でもDIYでも同じです。

2.計測した結果、インに0.25度くらいでした。変換すると約5.2㎜で基準外となります。(イン・アウトは動画内参照)ハの字に曲がっているタイヤを直す必要があります。サイドスリップの調整にはタイロッドの長さ(トー角)の変更を行います。タイロッドがどの位置についているかで縮めるか伸ばすかの作業が反対になります。

3.タイロッドの調整はジャッキアップやタイヤ外しを行わずにできます。タイロッドエンドを固定しているナットを共回りを押さえながら緩めます。タイロッドとタイロッドエンドの内側はボルトとナットのような関係になっています。タイロッドをネジを締める方向に回すと全体が縮んでタイヤがボディに近づきます。タイロッドをネジをゆるめる方向に回すと全体が伸びてタイヤがボディから離れます。タイロッドは1コマ(60度)や90度などわかりやすい角度で回すのがおすすめです。万が一戻す時にもわかりやすく、反対側で同じ量を回すのも簡単になります。タイロッドを回す方向がわかりにくいのが新人整備士がつまづくポイントです。

4.調整したらナットを仮締めし、反対側も行う。再度サイドスリップを計測します。基準内に入った事を確認したらナットを本締めします。

タイロッド1回転の変化量は車種で変わります。自分の車の変化量は覚えておくと便利です。調整が行き過ぎた場合は逆の調整を行います。普段ボルトなどを締める時とは回す方向が逆・締めて縮まる、緩めて伸びるというポイントだけ掴めば難しくありません。回す方向がわからなくなった時は固定用ナットを使って考えると良いです。